親鸞会 ひとこと言いたい!
〜管理人が 親鸞学徒の立場で 混迷する世の中に ひとこと物申すコーナーです〜
【2008/2/16 更新】
さよなら「なは」
寝台特急「なは」号が、3月15日のダイヤ改正で、姿を消します。
JRでは、これに伴って2月15日から、記念入場券を発売しています。もう、手に取られた方も、あるでしょう。
昭和43年、沖縄の復帰を願う思いから名づけられ、初めは昼間に走る特急として走り始めました。
昭和50年からは電車式の寝台特急になり、熊本−京都間を結んできました。いわゆるブルートレインといわれる青い客車式の寝台列車が多い中、ベージュと赤のツートンカラー、通路を挟んで両側に、3段式、あるいは2段式の寝台が並ぶ、独特のスタイルでした。
最近では、新幹線に利用客が移り、乗客数も減って、廃止もやむをえないことなのでしょう。
私も、高校の修学旅行で、大阪・奈良・京都を訪ねた時、往路は新幹線、復路は「なは」で帰ったことを覚えています。
その後、大学に通っていたころも、帰省には時々「なは」を使いました。社会人になってからの里帰りも、家族そろっての帰郷でも、「なは」を使いました。
それでも、最初の修学旅行での乗車が、いちばん心に残っています。
3泊4日の修学旅行、楽しみで楽しみで、指折り数えて待っていました。前の日は、一睡もできないくらい、興奮していました。
往路、博多駅で「ひかり」に乗った時、3人掛け向かい合わせの座席に興奮し、はしゃぎすぎて、担任の先生にゲンコツを食らったのを覚えています。(ちなみに、私の高校の名物が、「げんこつ」であります)
奈良も楽しかった、京都での自由行動も面白かった、でも、楽しい時間の過ぎるのは、早いこと、早いこと。
あっという間に、4日間が過ぎていきました。
あんなに楽しみにしていた旅行が、始まってしまうと、瞬く間に過ぎ去っていく。
「ああ、もう終わってしまったか」
胸がキュ−ッと締めつけられるような思いとともに、乗り込んだのが、寝台特急「なは」でした。
胸の中にポッカリ穴が開いたような、寂寞とした思いを、一人では抱え切れず、友達の寝台に乗り込み、一晩中、語り明かしたのでした。
ああ、こうして、自分の一生も終わっていくのか。
思い出だけの人生なんて、寂しいものだなあ。
図らずも、人生に思いを巡らしたのが、「なは」だったのです。
私が、その後、仏法を求め、親鸞聖人の教えを聞かずにおれなくなった、その動機、ご縁ともなったのでした。
今や、その「なは」も、姿を消し、思い出の一つとなっていきます。
楽しかった日々も、過ぎてしまえばあっという間です。
扉の言葉にも紹介しましたように、お釈迦さまは、
「大命、将に終らんとして悔懼こもごも至る」(大無量寿経)
と、おっしゃっています。
臨終に、後悔と恐れが、交互にやってくる。
心の底から、満足できる幸せを求めるべきだったのに。
人生、ムダに過ごしてしまったなあ、そんな後悔だけは残したくないものです。
写真(http://www.railstation.net/)